【BOOKレビュー•5】真剣師 小池重明 [本]
この本の著者は団鬼六。ダン、オニ、ロク!改めて口にすると、すごいペンネームだ。著作紹介の欄を見ると「調教」「監禁」「飼育」「女教師」「生け贄」……きゃああ
!しかし、今回紹介する本はその手の本ではない。団鬼六は将棋への造詣も深いのだ。将棋関係者との広い交遊関係をもち、日本アマチュア将棋連盟の機関誌まで発行していた。自身もアマ6段の腕前である。そんな鬼六が、アマチュ
ア将棋界に実在した不世出の天才、小池重明について描いたのがこの作品だ。ちなみに、タイトルにある「真剣師」とは、賭け将棋で生計を立てる将棋のギャンブラーのこと。昭和50年代まで存在してらしい。
この本は何度読んでもおもしろい。おもしろさの軸は2
つある。1つは小池重明の人間性。彼は絵に描いたような「昭和のダメンズ」だ。人妻と駆け落ちすること3回、恩
人宅から金を盗んでは逃亡を繰り返し、酒とギャンブルで常に借金まみれ。詐欺まがいの行為をしたために新聞沙汰になったこともある。そんな筋金入りのダメ人間なのに、この小池という人、なぜか憎めない。いくら裏切られても、一部の人間が見捨てることができなかったのも分かるのだ。小池はたびたび悲惨な状況に陥っているけれど、そんなときでもあまり悲惨さを感じさせないというか、彼の言動には思わずクスッと笑ってしまうようなところがある(筆者自身が晩年、本人と実際に関わるようになってからのやりとりは爆笑ものだ)。そんな彼のユーモラスな性格が、そのままこの作品のトーンに表れている。
何をやってもダメダメな小池だったが、他に行くべき才能がその一点に集中してしまったかのように、たったひとつだけ、ずば抜けた才能があった。それが将棋である。言うまでもなく、この作品のもうひとつの軸である。将棋のルールなど知らなくても小池の才能の凄まじさが伝わってくるのは、団鬼六の筆力だろう。とにかく強いのである。東大卒のインテリやらアマチュア将棋界の神様やら、次から次へと難敵が現れるけれど、ここぞというとき、小池は絶対に負けないのだ。プロとアマとの間には歴然たる実力差があるというのに、角落ちとはいえ、大山康晴名人との勝負にも勝ってしまう。しかも小池は前日に酔っぱらって警察に捕まり、留置場から二日酔いの頭を抱えたまま臨んだのだ。これがマンガだったら「出来すぎ」と思うだろう。しかし、実話なのだから本当に凄いとしか言いようがない。2年間全く将棋を指していなかったのに、少しも腕
が衰えていない小池を目の当たりにして、筆者は「将棋の化物」と称していたけれど、まったくそのとおりだ。
最後にもう1度言うが、この本はホントーーにっ!おも
しろい。わざわざ取り寄せてでも、読む価値がある本だと思う。絶対に後悔はしないので、是非読んでみてほしい。
!しかし、今回紹介する本はその手の本ではない。団鬼六は将棋への造詣も深いのだ。将棋関係者との広い交遊関係をもち、日本アマチュア将棋連盟の機関誌まで発行していた。自身もアマ6段の腕前である。そんな鬼六が、アマチュ
ア将棋界に実在した不世出の天才、小池重明について描いたのがこの作品だ。ちなみに、タイトルにある「真剣師」とは、賭け将棋で生計を立てる将棋のギャンブラーのこと。昭和50年代まで存在してらしい。
この本は何度読んでもおもしろい。おもしろさの軸は2
つある。1つは小池重明の人間性。彼は絵に描いたような「昭和のダメンズ」だ。人妻と駆け落ちすること3回、恩
人宅から金を盗んでは逃亡を繰り返し、酒とギャンブルで常に借金まみれ。詐欺まがいの行為をしたために新聞沙汰になったこともある。そんな筋金入りのダメ人間なのに、この小池という人、なぜか憎めない。いくら裏切られても、一部の人間が見捨てることができなかったのも分かるのだ。小池はたびたび悲惨な状況に陥っているけれど、そんなときでもあまり悲惨さを感じさせないというか、彼の言動には思わずクスッと笑ってしまうようなところがある(筆者自身が晩年、本人と実際に関わるようになってからのやりとりは爆笑ものだ)。そんな彼のユーモラスな性格が、そのままこの作品のトーンに表れている。
何をやってもダメダメな小池だったが、他に行くべき才能がその一点に集中してしまったかのように、たったひとつだけ、ずば抜けた才能があった。それが将棋である。言うまでもなく、この作品のもうひとつの軸である。将棋のルールなど知らなくても小池の才能の凄まじさが伝わってくるのは、団鬼六の筆力だろう。とにかく強いのである。東大卒のインテリやらアマチュア将棋界の神様やら、次から次へと難敵が現れるけれど、ここぞというとき、小池は絶対に負けないのだ。プロとアマとの間には歴然たる実力差があるというのに、角落ちとはいえ、大山康晴名人との勝負にも勝ってしまう。しかも小池は前日に酔っぱらって警察に捕まり、留置場から二日酔いの頭を抱えたまま臨んだのだ。これがマンガだったら「出来すぎ」と思うだろう。しかし、実話なのだから本当に凄いとしか言いようがない。2年間全く将棋を指していなかったのに、少しも腕
が衰えていない小池を目の当たりにして、筆者は「将棋の化物」と称していたけれど、まったくそのとおりだ。
最後にもう1度言うが、この本はホントーーにっ!おも
しろい。わざわざ取り寄せてでも、読む価値がある本だと思う。絶対に後悔はしないので、是非読んでみてほしい。









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